【おたよりコラム】大切なことを学んだ日
2月の14日。小学生のころ、この日が近づくと、いろいろな噂話が気になって仕方なかった。そして毎年、朝からそわそわして学校に向かっていた。そんなバレンタインデー。バレンタインというとぱっとでてくる思い出が2つある。小学生のころの私は、この子が好き!とひとりに決められないタイプの子で、あの子はやさしいよなーあの子も元気で楽しいよなーとふわふわ好きな人が数人いるような子だった。そんな私が、この子と一緒の班になりたい、一緒になにかしたい、と初めてひとりのことを意識したそんな相手の子との思い出。おそらく小学4年生ぐらいだと思う。その子は、小柄だけど、運動神経もよく、元気で、きちっとしている子だった。朝から落ち着かず、学校で過ごしていた。いつもなら何度か話すタイミングがあったりするのに、この日、その子は女の子の輪の中に基本いて、全然、話すこともできなかったのだ。それこそ、ちょっと無視されてる?と思うような感じ。そしてそのまま学校が終わってしまった。当時は学校帰りぐらいで渡すようなことも多かったのだけど、その子は帰ってしまったのだ。ものすごくがっかりしながら、家に帰り、それでもいつも通り外にボールをもって遊びに行った。夕方になって帰ってきた私はめちゃくちゃ喜ぶことになる。家の郵便受けにクッキーが入っていたのだ!チョコとプレーンでチェックになった手作りのクッキー。いまでも覚えている。家族や自分自身が意識していない友だちからもらうチョコとは違って、相手を想っていると、もらった時に、作ってくれている時のことを想像して幸せになったり、そのクッキーをみているだけで嬉しくなっていた。そんな嬉しい思い出。でももう一つは傷つけてしまった高学年のときの思い出。2人の女の子に「帰り昇降口のところでまっててね!」そう声をかけられた。授業が終わり、帰ろうと昇降口にいったら、声をかけてきた2人の女の子だけでなく、4人の女の子がいて「きたよきたよ」と言っている。自分はひとりだったけれど、恥ずかしくて、素直にそこに向かってあげることができなかった。走って逃げたのだ。「なんでいくの!」「まて!」そんな声を振り切り逃げ帰った。愚かなことに、自分は家に帰った後、この日もボールをもって学校に遊びに向かってしまったのだ。学校前まできて、後悔することとなる。一人の女の子が道の端で泣いていたのだ。そしてその周りに先ほどの4人の女の子。「こっちも恥ずかしかったんだから仕方ないじゃん、ひとりできてよ」そう心で思いながらも、女の子からの「さいてー」という言葉や目線に耐えられず、そそくさと他の公園にいった。今でも、逃げたくなった自分もわかるけれど、なんでちゃんと受け取ってあげられなかったんだろうと後悔が残っている。
想いを伝えるってすごく大変なこと。そして想いを素直に受け止めることも。すごく当たり前のことなのかもしれないけれど、そんな大切なことを学んだのはバレンタインという日だったかもしれない。恥ずかしがることなく、相手に想いを伝えられ、相手の想いを受け止められる人でありたい。
三尾 新
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